俳優座の「ジュリアスシーザー」{RETROSPECTIVE COMMOHEDGE 15}
1977年1月に、東横劇場で俳優座の「ジュリアスシーザー」を見た。訳は小田島雄志。タイトルロールは川原崎次郎。「ジュリアスシーザー」とは言うものの、実際に目立ったのはアントニーとブルータスである。仲代達矢がアントニー、加藤剛がブルータスを演じていた。
この劇はもともと、この二人の対立が目立つようにできている。第三幕の二人の演説にそれが端的に示されている。シーザーにとどめを刺したブルータスが最初に、その次にアントニーが追悼演説をする。ブルータスの言うことだけを聞くとローマ市民もシーザーには殺される理由があったと思うのだが、そのすぐ後にはアントニーに扇動され、ブルータスをはじめとする暗殺者らを血祭りに上げようとする。
アントニーの演説の前後の市民の心の変わりようはすごい。人は何と他人の影響を受けやすいことだろう。大勢の意見になびくのは、まさしく群集心理である(当然、観衆もローマ市民と同じ心情を抱くことになるかもしれない。しかし、そこが微妙なところで、加藤剛は二枚目であるので、なぜか善人にみえてしまったりした。そもそも、ブルータスは高潔の士なのだろうか?)。
その後、ブルータス・キャシアスらの元老院派とアントニウス・オクタヴィアヌス連合軍の闘いはアントニウス側の勝利に終わる。そこに至るまでの、ブルータスとその妻の会話が、しみじみとした愁嘆場に聞こえてしまったりする。
スターの共演ということもあり、当時は話題となった公演であった。後年外国での上演を見た時に比べると全体にテンポが遅い感じがして、せりふ回しが日本調になってしまうところは確かにあったと思うが、Et tu, Brute! で有名なこの劇は初見で,迫力もあっておもしろかった(特に,二陣営の対立が)。 コメントをどうぞ
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