チャイコフスキー
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ベートーベンがハイドンの下で学ぶために故郷のボンを発ったのは1792年の11月1〜3日の間で、ウィーンには10日までには到着したらしいとのこと。「ベートーベンの出発」という標題はそういう意味なのだが、その際に「モーツァルトの精神をハイドンの手から受け取るように」(伊東辰彦氏訳)というワルトシュタイン伯爵の有名な言葉がベートーベンにはなむけとして贈られることになった。前年にモーツァルトがウィーンで亡くなってから1年が経とうとしているころだ。
『天才音楽家たちの友情記念帳』には、その時のウィーンのオーストリア国立図書館所蔵のワルトシュタイン伯の書き込みの写真が見開きで紹介されている。左の頁にはワルトシュタイン伯のシルエットが、右の頁には9行の送別の書き込みがなされている。このような「友情記念帳」が旅立つ者への記念として当時は盛んに交わされたそうだ。
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漢字研究者の白川静先生が亡くなったことを今朝の新聞で知った。「字統」「字訓」「字通」という三部作の字書を完成されたこと、漢字を呪術的に解釈されたということくらいしか存じ上げないが、いつか是非文字文化研究所の先生の講演会を聴講したいと思い思いしているうちに、亡くなられてしまった。中・高校生を対象にした漢字字典「常用字解」が3年ほど前に刊行された時にさっそく買って面白そうな個所をあちこち読んだことを思い出す。今でも本棚には「字統」その他何冊かの本がずっと以前から並んでいるのだが、置いておくだけで安心して、じっくりと読んだことはなかった。だから、白川先生のご趣意を理解している自分ではないのだが、こういう方がおられるうちは日本の漢字文化は何となく安泰なのではないか、などと漠然と思っていたように思う。謹んで、ご冥福をお祈りします。
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読書週間なので、本を読んでいる。そのうちの1冊が『天才音楽家たちの友情記念帳』(2002年,伊東辰彦著, 講談社選書メチエ)だ。これは、ドイツで社交上の慣習として残された「友情記念帳」(シュタムブッフStammbuch)の記録に注目して大作曲家たちの素顔を探ろうという趣旨の本である。作曲家たちが書いた記帳の内容を読み解こうという試みだ。
ウィーン古典派のころのドイツ語圏に「友情記念帳」の伝統があったという。実際、この伝統は16世紀半ばから20世紀半ばまで盛んだったそうだ。一般的にも注目されて来なかったとのことで、ドイツでも学問的対象とされ始めたのは1970年代くらいかららしい。とても刺激的な本だ。読めば読むほどCURIOUSER and curiouser! という感じである。(以下、明日に続く...)
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